強引な彼にすっかり振り回されています
「親方ぁ、あの御曹司、超オレ様なんですけど!」
事務所に戻った私は、先ほどの出来事をさっそく親方に愚痴ってしまう。
親方はひとつ息をはいてから私に向き合い、穏やかに話し始める。
「いいか?ここでビジネスをしている人たちってのは、植物が好きで飾る人ばかりじゃないんだ。
空間効果として利用するだけの人もいる、もちろん仕事のためにな。
俺たちが相手にしている階層には、俺たちにはわからない背景が色々あるもんさ。」
自分で子供っぽいと自覚しつつも、不満がつい顔に出てしまう。
「親方にそう言われると納得しちゃいますけど、なーんか釈然としないというか……。」
「いいか?どんな依頼であれ、どんな利用目的であれ、
お客さんの1番欲しいものを提供できてこそプロってもんだ。
成長できるチャンスだと思ってやることだな。」
ニッと笑った親方を見て、やる気のでないはずもなく。
「頑張りますっ!」
我ながら単純ではあるが、気合いを入れて、打ち合わせ用の資料づくりに取り掛かった。