強引な彼にすっかり振り回されています



「ってなわけでね、結局打ち合わせどころじゃなくなって。」

「いいなぁ、西王寺様とドライブデートっ。」


フラワーショップの後輩店員であるマナちゃんに早速お昼のことを愚痴っていたのは15時頃。


「だからデートじゃなくて、打ち合わせだってば!」

「でも肝心の打ち合わせにはタイムオーバーだったんですよね?
やっぱりただのドライブランチじゃないですかぁ。」


マナちゃんが揶揄う様な視線を送りながら肘で私の腕をつついた。


「本当に違うんだって。こっちが何を聞きたいのかわかってるクセに、私に喋らせる猶予を与えてくれなかった感じ。」

「……へぇ〜、店長でも相手のペースに巻き込まれることあるんですね。」


私たちの仕事はお客様の望んでいる気持ちを、植物を通じて表現することであり、

そのために話の主導権を握って相手からの言葉を引き出すというテクニックを身につけてきたはずだった。


「ますます興味あるなぁ……、西王寺様っ。」


結局、私の愚痴タイムはマナちゃんの空想タイムへと移り変わってしまった。

ただ、ここ数回での西王寺さんの印象から言って、マナちゃんの興奮ぶりは納得できてしまうところがある。

長身、イケメン、御曹司で副社長、ちょっとオレ様なところから繰り出される笑顔……

ついつい私まで空想タイムに入ってしまい、ダメダメ!と首を2,3回振って西王寺さんの笑顔を追いやった。
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