光は空と地上に輝く
家に着いた私は探し物がなにか考えた。私の部屋にあると何となく思った。私の部屋にあって、翔…じゃなくて流架に関係あるもの。流架に関係ある…?
 その瞬間私は玄関を出て走り出した。
「流架に関係あるなら、行くべき場所は翔と夕日をみた場所じゃなかった!あの桜のトンネルとか日向ぼっこした丘とか、流架と一緒に行った場所!急がなきゃ!」
何で翔は何も言わなかったのか気になったが、とにかく私は急いで向かった。
 バスにまた乗って、まだ明るいうちにさくら公園に着いた。すぐに桜のトンネルに向かった。カーペットになっていた道、告白の時に後ろにあった桜の木も見た。でもなにも変なところは無かった。すぐに丘に向かった。あの日とほとんど同じ状況だった。そしてあの日と同じ場所に寝そべってみた。それでも何もかもが同じに見えた。唯一違うものは…太陽と雲?そしてピンときた。
「大事なのはこの『場所』じゃなかった…。『空』だったんだ…。」
果て無く続く不安をかき消す輝かしい太陽が欲しい。そう思ったけれど、そのために私はできることをしようと思った。とにかく今は家に向かおう。
 
家に戻った私はまた考え始めた。とりあえず部屋に行った。
 まずは机の引き出しから調べた。最初に引っ張り出したのはあの手紙だった。
 中学の頃の翔は受験が終わるまで携帯をもっていなかった。だから翔から手紙がたくさん来ていた。この手紙は全て大切なものだった。だから枚数は確実に覚えている。全部で三〇枚。全てを確認することにした。
 翔からの手紙を開いてみた。
一枚
また一枚…
 読むと翔との時間を思い出して楽しかった。でも同時に恥ずかしさもあった。一枚を読み終わるのにそう時間はかからなかった。
 最後まで読み終えたがこれといって関係ありそうなものはなかった。
 次に本棚に向かった。全部見るのはさすがに気が引けた。その時、思い出した。その本を手に取った私はすぐにママに聞いた。ママはテレビを見て笑っていた。
「ママ、この本の事ホントに知らないの?」
 本を見せた瞬間、母の顔が曇った。さっきの笑い顔はすっかり姿を消していた。何があるのか不安になった。でも、ママの言葉を聞いて不安は消えた。
「実はね、それは昔ママが読んでた本で、しまう場所が無くて、でも見える場所においておきたくて、勝手に置いてたの。ごめんね」
「それなら先に言ってよ~聞いた瞬間に顔曇らせて、も~ビックリしたよ」
 翔とも流架とも関係なかった。何てややこしいことをしてくれるんだ。気を切り替えて他の本を見てみた。翔に貸したことがある本や好きすぎて何周もした本などたくさんある。とりあえず関係ありそうな本を全て出してみた。一〇〇冊近くあった。とても短期間で読み終われそうになかった。そう思った私はLINEを開いた。
香歩「時間制限ってあるの?」
翔 「時間制限はないよ。でも早く見つければ見つけるだけ流架に早く会えるって考えたら早い   
方がいいんじゃないの?」
香歩「OK!ありがと!」
 結局一〇〇冊の中で特に思い入れがある一〇冊だけは読むことにした。ただ、外にはもう太陽は見えない。いまから読んだとしても読み終わらないと思った。それで読むのは明日にして、残りの手紙を読み始めた。ずっと手紙を読んで、いつの間にか寝ていた。
< 13 / 30 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop