光は空と地上に輝く
~中学生の私~

「このドラマ面白いよね!」
「主演の俳優タイプ!」
「あー!早く次見たい!」
私はクラスの女子と他愛もない話をして盛り上がっていた。
「香歩ー、どっちの俳優タイプ?」
「私はこっちー!早希は?」
「やっぱそうだよね!香歩とはホント気が合うなー。」
この三日後、ある偶然によって私たちの歯車は狂いだした。原因は、私と親友と思っていた早希との間の歯車が狂いだした日の前日の出来事。

~前日~

「翔、おまたせー」
「よし、じゃあ行くか」
私たちは近くのカラオケ屋に向かった。受付を済ませて部屋に入った。それから三時間歌って部屋を出て会計へと向かった。
「あれ?香歩じゃん!ん?もしかして彼氏?ごめん!邪魔しちゃった?」
ちょうど早希とその友達がカラオケに着たところだった。偶然会った。早希たちは三人して翔を見た。そして私を少し離れた場所につれていって聞いてきた。
「超かっこいいんだけど!誰?」
「私の幼なじみで、今付き合ってるの。」
「へぇーそうなんだ」
その時の早希の顔は、私への嫉妬で、本当の悪魔のようだった。翔のところへ戻ると、
「お邪魔しました。じゃあね香歩、また明日―」
「じゃあねー」
そう言って部屋に向かって歩いていった。
「今の、同じ中学の子?」
「うん。」
私はあの顔を見た時から不安でしかたがなかった。

     ~その日~

「おは……」
私は教室に入ってすぐ、言葉を失った。
「香歩LOVEイケメン君」、「香歩リア充」
 それが黒板に書かれていた。黒板の横には早希が立っていた。明らかに楽しんでいる。そして、私に気づくとすぐに早希は教室を出ていった。クラスの女子は全員、わかりやすく私を避けていた。そしてつららが私の心に何本も突き刺さる。男子は、「河合、これホントかよー」「おめでとう」。そう言ってきた。男子たちに悪気はないのだろうけど、この瞬間私の学校生活に暗雲が立ち込めた。
「おはよう。ってなんだこれ?誰が書いたんだ。河合、これ本当なのか。良かったな。楽しそうで何よりだ。じゃあ皆読書して。」
 そう担任が言った。良かったな、楽しそう…私は心の中で叫んだ。「なんで!なんで楽しそうに見えるの!」と。
 私はその日のうちに、完全に孤立した。それから毎日、冷たい目で見られ、誰にも相談できず、私の心は少しずつ着実に壊されていく。二週間後、いじめはエスカレートした。早希たちと話していたドラマで出てくるいじめとは違って、早希は私を精神的に追い詰めていった。トイレに行けば、水をかけられないかわりに目の前で悪口を言われ、放課後は、暴力は振るわれないけれどずっと私を蔑んだ目で見るか、笑って通り過ぎていく。
 一ヶ月後、私は学校に行かなくなった。もちろん翔には内緒で。翔と遊びに行く時は早希たちと会わないようにわざと遠くに行った。
 三か月後、翔が遠くへ転校し、私は家族以外に頼れる人はいなくなった。
     
     ~高校生の私~

早希たちと同じ学校にはなりたくなかった私はこの学校に来た。私は、友達は裏切る、そう考えてひとりで過ごすことを選んだ。英語の時間のペアワークでは、教師に何を言われてもペアワークは一切笑わずに流れ作業のようにこなしたし、担任との面談でも、教師は全員クズだと思って何もないと言ってさっさと面談を終わらせた。無視すれば怒られて無駄な体力を使う。だから少しは関わりをもった。そして、私は朝から帰りまで常にひとりで過ごした。音楽と家族だけに癒しを求め、それ以外には一切関心を示さなかった。

     ~高二の私~

流架、遥、直樹、この三人は信用できる。誰よりも。私、変われるといいな。
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