光は空と地上に輝く
~長旅三日目~

昨日のように携帯を見ていた時、ふたりが家に来た。いつもなら一緒にいたいと思えるのに、今はよくわからない。少しは落ち着いたけれど、一緒にいればまた泣いてしまう。でも一緒にいないとそれはそれで泣きそうになる。私は玄関に向かって頼りなく歩いた。扉を開けたのが私だと分かった途端、遥が抱きついてきた。遥は私よりも目が赤かった。

「香歩~!」
「遥!」
私たちが離れてから直樹が元気のない声で言った。
「ふたりとも元気そうで良かった。」
「まぁなんとかね」
「香歩も直樹もすごいね。私毎日泣いてたよ。さっきだって香歩が死にそうな顔してなくて安心してまた泣いちゃったし。」
「遥ありがとね。あ、直樹も」
 そして、ふたりを部屋にあげた。この三日間どうしていたか話した。遥は、私と同じで一晩中泣き続けた。次の日は何も考えたくなくて一五時間ずっと寝て、直樹からのLINEを見て私の家に来る途中にも泣いたらしい。よくそんなに寝られるなと思ったけどあえて触れずにスルーした。直樹は、それこそ最初は何もやる気が起きなかったけれど、次第に私たちふたりを心配して遥にLINEをしてここに来たそうだ。そして、流架の記憶を取り戻せないかと直樹が言った時、二つの考えをふたりに言った。携帯を眺めていた時に思い付き、三人でやろうと決めていた考えを。
「流架の記憶を取り戻せるんだとしたら、その方法は二つしかないと思う。」
「その二つって?」
「一つ目は、遥の夢。五つやれば助かるって言ったでしょ?でもまだ三つしか終わってない。ならあと二つやれば…。」
「ちょっと待ってよ。もしそうなら、流架の記憶から私たちが消えることは決まってたってこと?」
「まぁそうなるだろうね。香歩が言っている通りなら。それで二つ目は?」
「二つ目は、遥の真似をすること。遥が翔のふりしたことで私は翔の記憶を取り戻せた。だから、私たちが誰かになりすまして流架が記憶を取り戻すのを待つ。」
「翔になりすましていたのは遥だったの!?あー頭がついていかない。まあ、とりあえず頭の整理は後で一人でやるとして、どっちにしろ問題があるね。一つ目なら流架の運命が決まっていたと信じないといけない。二つ目なら誰になりすますべきか分からない。」
「それならお姉ちゃんになりすますのは?」
「お姉ちゃんの記憶はあるから無理だよ、たぶん」
三人で話しても結論は出なかった。家に帰って一日考えることにした。
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