光は空と地上に輝く
~長旅四日目~

三人で集まって、私たちはすぐに流架のお母さんのもとへ向かった。着いてすぐ、直樹が流架のお母さんに聞いた。
「お姉さん以外で昔、流架と仲の良かった、でも今この世にはいない人は誰ですか。」
その返事は、何も予想していなければ衝撃的なものになるはずだった。でも、すでに予想はついている。それは、その人は…
「翔という名前の子。本名は成海翔。主人の友達の子。」
信じたくなかったその答えに私たちは下を向いた。
「翔くんが死んでから、翔くんのお父さんはアメリカに渡って翔君がかかった病気の研究をしてる。でも流架は未だに翔くんが死んだことを知らないの。教えてないから。翔くんは入れ違いでアメリカで生きていると思ってるの。そして、主人はその研究を一秒でも早く終わらせるためにアメリカに残って、共同で研究をしているの。その研究が終わったら全員で翔君のお墓参りに行くことになってるの。翔君のお父さんが私たちにお願いしてきたの。翔君が最後に人の役に立てるならといって身を捧げたこの研究が終わるまでは、流架には黙っていてほしいって。」
私たちは複雑な思いで流架の家から出た。流架のお母さんも私と翔の関係を知らなかった。
二時間前からこうなる気がしていた。

~二時間前~

「夢、みたよ。夢で言われた。四つ目のヒントは、空」
「空?どういうことだろう。何かわか…香歩?どうした?」
空。やっとつながった。やっぱり「ここ」は「空」だった。流架はあのとき私と空を見上げた。でも気持ちは全然違ったんだ。あの時流架は単に空を見ていたわけじゃなかった。流架は私と話しながらアメリカにいるはずの翔のことを考えてたんだ。たぶんお姉さんのことも。でも翔はそうじゃなかったのかもしれない。そして、翔は…。気づいた私はすぐにふたりを外へ連れ出した。
「どうしたの香歩?何か分かったの?」
「ねぇ、空見て。どう?」
「どう?って青いな、澄んでるなくらいしか思わないけど?」
「じゃあ、本当に天国が空にあるとしたら?」
直樹がすぐに気づいて答えた。
「お姉さんか。」
「それだけじゃないかもしれない。」
「どういうこと?」
「もうひとり、私たちがよく知ってる人がいるでしょ?」
「それが翔だって言うの?流架と翔に繋がりなんか…」
「流架の家にあの公園の写真があったの。その時に言ってたんだ。『お父さんとその友達と行った』って。それに『お父さんの友達に子どもがいた』って言ってた。」
「やることは決まったね。流架のお母さんに聞きに行こう。」
私の家に戻り、結論は出た。
「翔のふりをしよう」
「うん」
「頼むよ。僕は翔くんの事をあまり知らないから他の事を手伝うよ」
「よし、やろう!」
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