光は空と地上に輝く
~笑顔の日常~

四人で笑いあって過ごした高校生活も終わり、四人別々の学部ながら同じ国立大学を卒業し、あの事故から一〇年。五人であの公園に来た私たち。
「ふたりとも幸せだね。流架と香歩ならうまくやっていけそう」
「いやいや、やっていけそうじゃないから。うまくやっていってもらわないと。それにかわいい子どももいるんだし」
「そうだね。遥と直樹も仲良くね」
ふたりとも照れるのでつい笑った。流架も笑った。すると遥が話を逸らすように言った。
「高校生の頃は香歩がママ、パパって呼んでたのに、今はもう香歩がママって呼ばれて。この幸せもんが!」
 大学を卒業してから一年ほどで私と流架は結婚した。一方で直樹は、あの事故から二年後、彼氏と別れた遥に告白して、何だかんだありながら来週結婚式を挙げる。遥と直樹は二人で幸せに暮らしている。私たちは結婚して一年後に子どもを授かった。今では四歳の子ども、私、そして私の永遠の友達の五人で、翔と流架のお姉さんと直樹のお姉さんを見上げに来るようになった。
「これからは遊ぶってなったら子どももいるから五人か」
「そうだね。遥がいたずらされる方になるかもよ?」
「楽しけりゃいいよ。ホントはいやだけど…」
「ママーはやくー」
「よし、じゃあてっぺん行こっか、春翔(はると)」
「うん!」
 私たち五人は丘に寝そべって空を見上げた。そして、翔や流架のお姉さん、直樹のお姉さんと語り合った。
流架の記憶が戻ってから翔が言った五つ目のヒント、いや、ヒントという名の翔の願いを叶えると空の太陽に誓った。
その時翔の声がした気がした。「流架のそばで、幸せに生きてね」という願いを伝える声が。
そして周りを見渡すと、

地上には流架という太陽が、空には私たちを見守るように太陽が一つ輝いていた。


FIN
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