光は空と地上に輝く
始まり
~流架が来て半年~

今日は珍しく流架が寝坊した。
流架 「先行ってて!」
 朝流架からLINEが来た。それで、私は久々にひとりで学校に向かった。ひとりで音楽を聴きながら坂を上った。久々すぎて新鮮に感じられた。でもやっぱり流架がいる方がいい。流架が追いかけてくるかなと思ってゆっくり歩いていた。坂を上りきって曲を替えようと携帯をいじっていたら信号が青になった。歩き始めた。また坂を上り学校に着いてしまった。結局流架は遅刻してきた。
「遅かったね」
「無遅刻狙ってたんだけどなー」
帰りも一人になった。遅刻したからか先生に呼び出されたらしい。
「いつ終わるかわかんないから帰ってて。たぶん長いと思うし。」
「そういうの厳しいからね、安藤先生」
 そしてまた一人で歩き始めた。外はもう真っ暗だった。流架と付き合いはじめてから初めてだった。行きも帰りも流架がいない日は今までにはなかった。
「流架と帰りたいな」
 一人で呟いてしまって慌てて辺りを見回す。周りに人がいなくて安心した。遥がいたりしたら、これからいじられまくるにきまってる。安心してゆっくり歩みを進める。坂を下って信号待ちをする。学校の方を見ても流架は来ていなかった。
「遅いな。もう来てくれてもいいのに。バーカ。」
 周りに人がいないのはわかっていた。でも流架が転校してきてから、周りに常に人がいたから、少し心細かった。周りが暗いせいで余計に孤独を感じた。それに何より、帰り道がつまらなく感じる。
「まだかな。もう先生長すぎ」
信号が青にかわり、また歩みを進める。すると、イヤホンの音量よりも大きな音が聞こえた。
ふと右をみた。
私に向かって光が迫ってきた。
どんどん近づいてくる。
もう少しで私は光に圧倒される。
覚悟した。
今日はついてない。
流架………。
目の前が暗くなった。
気がついた時、私は道路に横たわっていた。
やっぱり自分は消え去るのか。まだ生きたかっ……。

 目が覚めたとき、最初に視界に入ったのは信じられない人だった。目の前には翔がいた。私は抱きついていた。そして翔から離れて落ち着いてから聞いた。
「今までどうしてたの?会いたかったんだよ」
「遠くの高校に通ってるんだけど、忙しくて。ごめんね」
「元気で良かった」
翔の顔が見える。それだけで十分嬉しかった。
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