光は空と地上に輝く
目を開けるとそこは病院だった。話し声が聞こえてきた。パパとママが医者と話していた。
「軽い怪我で済んで良かったですね。」
「先生、本当にありがとうございました。」
ドアが閉まる音がしたのも束の間、ママが私に気づいた。
「香歩!良かった…。車には気を付けてって言ってるのに。まぁ今回は車の運転手の責任だけれどね。ブレーキの故障だって。これからはもっと気を付けてよ。死なないでね。」
「うん。ごめんなさい。気を付ける。すごく怖かった。もうこんな目に遭いたくない。」
「それでいいよ。これから退院するから準備しといてね。軽い怪我で済んで本当に良かった。」
 準備しようと立った時、信じられなかった。少し頭痛がしたけれど、他に痛みはさほどなかった。私は本当に車にひかれたんだろうか。坂を下ってくるブレーキの効かない車にひかれて、それなのに骨ひとつ折れてないなんて信じられない。事故直前の事を思い出せない。「考えても無駄か。生きてるのにかわりないし。」そんなふうに思って準備を始めた。
家に着くとすぐベッドにダイブした。着地と同時に少し痛みが走った。
「イタッ!気つけないと悪化しちゃうかも」
それからはゆっくりと動くように心がけた。
 何を思ったか私は机に座っていた。そして、机の引き出しからある手紙を取り出した。それを開いて読み進めた。何回か見たことがあったからか、すぐに読み終わった。さっき会ったばかりだけれど、それでも読み終わってしまうとすぐ会いたくなる。それからまた違う手紙を読み始める。よくこうして暇を潰していた。最近は流架がいるからあまり読んではいない。
明日の学校の準備をして寝た。明日からまた流架との楽しい日常を送る、はずだった…。

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