婚約破棄するはずが、一夜を共にしたら御曹司の求愛が始まりました
継母となった京香は悪い人ではないのだが、どこか幼い女性だった。家事は苦手だからと家政婦を二人も増やし、弟の世話もシッターやら家庭教師やら金に糸目をつけなかった。
宮松の経営が危うくなり父がより多忙になると、今度は寂しさから買い物やら占いやらにますます散財するようになった。とはいえ、父も紅も、まさかショッピングのために借金までしているとは夢にも思っていなかった。
京香の借金を返すと、二ノ宮家の財布はすっからかんになった。
「お母さんとは全然連絡を取ってないの?」
「あんまりね……でも弟の晶とは時々電話してる。お母さんの実家の援助もあって、なんとか暮らしてるみたい」
京香の実家はわりと裕福で、彼女は父の死後すぐに晶を連れて実家に帰った。 申し訳なさと後ろめたさから、紅とは顔を合わせたくないのだろう。彼女から連絡をしてくることは滅多にない。
紅も弟は可愛いが、継母と積極的に会いたいとは思えなかった。憎いというほど強い感情ではないが、父を支えてくれなかった恨みがどこかにあるのかも知れなかった。
「お母さんを反面教師にしたのか晶はしっかりしてるし、そう心配はないと思う」
「それで、やっと自分の幸せを……ってこと?」
玲子の問いかけに紅は満面の笑みで頷いた。
「うん! 過去の色々は忘れて、そろそろ自分の幸せを探すの」
宮松の経営が危うくなり父がより多忙になると、今度は寂しさから買い物やら占いやらにますます散財するようになった。とはいえ、父も紅も、まさかショッピングのために借金までしているとは夢にも思っていなかった。
京香の借金を返すと、二ノ宮家の財布はすっからかんになった。
「お母さんとは全然連絡を取ってないの?」
「あんまりね……でも弟の晶とは時々電話してる。お母さんの実家の援助もあって、なんとか暮らしてるみたい」
京香の実家はわりと裕福で、彼女は父の死後すぐに晶を連れて実家に帰った。 申し訳なさと後ろめたさから、紅とは顔を合わせたくないのだろう。彼女から連絡をしてくることは滅多にない。
紅も弟は可愛いが、継母と積極的に会いたいとは思えなかった。憎いというほど強い感情ではないが、父を支えてくれなかった恨みがどこかにあるのかも知れなかった。
「お母さんを反面教師にしたのか晶はしっかりしてるし、そう心配はないと思う」
「それで、やっと自分の幸せを……ってこと?」
玲子の問いかけに紅は満面の笑みで頷いた。
「うん! 過去の色々は忘れて、そろそろ自分の幸せを探すの」