婚約破棄するはずが、一夜を共にしたら御曹司の求愛が始まりました
 さすがに何度も着替えたりはしないが……桂木家側の招待客がVIPばかりなので、芸能人なみの豪華披露宴だった。こんなに豪華なのに、肝心の花嫁が地味な自分でいいのだろうかとちょっと不安になるほどだ。
 お色直しは宗介の希望通りに、色打掛を着ることになった。桜色の美しい打掛を、麻子が仕立ててプレゼントしてくれた。

「二ノ宮さん。めっちゃ綺麗です〜結婚式って、やっぱり素敵!」
「よ。お招き、ありがとう」

 田端と陽菜も同僚として出席してくれた。紅はふたりに礼を言った。

「でも二ノ宮がこんなに早く結婚しちゃうとは、ちょっと意外だなー」
「そうですか?」

 そんなに男っ気がなく見えていたのだろうか。まぁ、宗介以外にはまったくなかったのは事実だけれど。

「独身同盟に仲間入りしてくれるかと期待してたのに、残念だよ。早川、代わりに入んない?」

 田端が冗談めかして言うと、陽菜はげっと顔をしかめた。

「不吉なお誘いはやめてくださいよ〜。私も二ノ宮さんに続いてのゴールイン目指してるんですから!」

 陽菜はあの懇親会をきっかけに付き合いはじめた彼と、今もラブラブだった。
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