婚約破棄するはずが、一夜を共にしたら御曹司の求愛が始まりました
「社長。ご結婚おめでとうございます」
「初めまして、紅さん」

 次に来てくれたのは、宗介の大切な仲間である旬と雅だ。話は聞いていたものの、紅は実際に会うのは初めてだった。

「わぁ。雅さんに旬さんですね。お会いできて嬉しいです。宗くんからおふたりの話はいつも聞いていて……」
「俺は会いたかったんだけど、宗介が会わせてくれなくてね」

 旬はそう言って肩をすくめた。宗介が正統派王子様だとすると、彼はもう少しワイルドで男らしい雰囲気のイケメンだ。このふたりがトップに立つ会社だなんて、メディアが取り上げたがるのも必然だろう。

「今日も本当は招待するか迷った」
「おいっ」

 宗介と旬は楽しそうにじゃれている。仕事仲間でもあり親友でもあると聞いている。ふたりは大学の同級生だ。名門大の法学部で、司法試験以外に興味を持ってしまったはぐれ者同士で気が合ったらしい。
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