婚約破棄するはずが、一夜を共にしたら御曹司の求愛が始まりました
 礼儀正しく勤勉で、百点満点の仕事振りという優等生タイプはこの国には多い。宗介と旬の母校あたりを探せば、いくらでも見つかるだろう。
 だが、彼みたいな才能特化型タイプは稀有だ。宗介と旬だって、どちらかに分類するとなれば、よくいる優等生タイプに入るだろう。
 彼との出会いは幸運だった。正しく教育できれば、彼は会社にとって大きな武器になるはずだ。

「ですが、社長の想い人の話、明日には会社中に広まってると思いますよ」
「う~ん。それはちょっと困るなぁ……そこだけは彼を教育できない?」
「私のような凡人には、彼は扱いかねますよ。専務におまかせしようかしら」
「面白いから、あいつはあのままでいいんじゃないか」

 飛び抜けて優秀な都も旬も、大地にはお手上げのようだった。
 
「なぁ、宗介。俺がその子に惚れる理由は聞いたが、俺が振られる理由は聞いてないぞ」

 旬はよほどそこが不満らしい。むすっとした顔で宗介につめよった。

「それは、ほら。俺のほうがいい男だから」
「はぁ〜?」
「冗談だよ。……理由は単純。俺はあの子を諦める気がないからね。旬はひとりの女にそんなに執着するタイプでもないだろ」

 にこりと微笑む宗介に旬は訝しげな目を向ける。

「……お前もそんなタイプには見えないけどな」

 














 
 
 




 
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