婚約破棄するはずが、一夜を共にしたら御曹司の求愛が始まりました
「ほら。油断してると、こうやって食べられちゃうよ」
「な、なんで……」
吐息が混ざり合い、どちらのものかわからなくなっていく。彼の肩ごしに見える月がやけに存在感を増していた。まるで誰かに見られているようで、羞恥心を煽られる。
「デートだって言ったろ?」
「デートなんかじゃ」
紅の言葉をさえぎるように、壮介はまた唇を重ねた。彼の持つ熱量に、紅は抗えなくて……溺れてしまう。息もできないほどに。
ひとしきり紅を味わった後で、ようやく宗介は彼女を開放した。
紅は荒い呼吸で、慌てたように宗介から目をそらした。
彼の考えていることがわからない。彼の行動も、それを受け入れてしまっている自分自身も、なにもかもわかなくて戸惑うばかりだった。
「紅の考えてること当てようか?」
彼は返事を待たずに続ける。
「婚約破棄したはずじゃないの?ってとこでしょ」
やけに楽しげな宗介に、紅は少し腹が立った。思わず声を荒らげる。
「そうだよ! 他人になったとは言わないけど…もう婚約者でも恋人でもないし、からかって楽しんでるだけならやめて欲しい」
拒まなかった自分を棚にあげて、彼に怒りをぶつけてしまった。
そんな紅とは対照的に、彼は余裕たっぷりにニヤリと口角を上げてみせた。
「今日は宣戦布告をしに来た。たしかに婚約は破棄したけど、俺は紅を諦めるつもりはないよ。どんな手を使ってでも、振り向かせてみせる」
「な、なんで……」
吐息が混ざり合い、どちらのものかわからなくなっていく。彼の肩ごしに見える月がやけに存在感を増していた。まるで誰かに見られているようで、羞恥心を煽られる。
「デートだって言ったろ?」
「デートなんかじゃ」
紅の言葉をさえぎるように、壮介はまた唇を重ねた。彼の持つ熱量に、紅は抗えなくて……溺れてしまう。息もできないほどに。
ひとしきり紅を味わった後で、ようやく宗介は彼女を開放した。
紅は荒い呼吸で、慌てたように宗介から目をそらした。
彼の考えていることがわからない。彼の行動も、それを受け入れてしまっている自分自身も、なにもかもわかなくて戸惑うばかりだった。
「紅の考えてること当てようか?」
彼は返事を待たずに続ける。
「婚約破棄したはずじゃないの?ってとこでしょ」
やけに楽しげな宗介に、紅は少し腹が立った。思わず声を荒らげる。
「そうだよ! 他人になったとは言わないけど…もう婚約者でも恋人でもないし、からかって楽しんでるだけならやめて欲しい」
拒まなかった自分を棚にあげて、彼に怒りをぶつけてしまった。
そんな紅とは対照的に、彼は余裕たっぷりにニヤリと口角を上げてみせた。
「今日は宣戦布告をしに来た。たしかに婚約は破棄したけど、俺は紅を諦めるつもりはないよ。どんな手を使ってでも、振り向かせてみせる」