婚約破棄するはずが、一夜を共にしたら御曹司の求愛が始まりました
 結婚するまで待つのも苦ではない。そう思っていたはずなのに……。
 
 いざ彼女に別れを切り出されたら、そんな余裕はどこかに吹き飛んでしまった。建前も理性もなく、彼女を求めてしまった。
 この強引な行動が吉と出るか凶と出るか……。

「でも、まぁいいさ。諦めない限り負けはないしね」

 宗介は天才肌だと周囲には思われているが、実はそんなことはない。彼の成功の秘訣は単純で、天才でなくともできることだ。
 勝つまで続けること。ただ、それだけだ。

 紅に関しても同じだ。彼女が振り向くまで、何年かかっても諦めるつもりなどなかった。


「裏が取れたよ。やっぱり立花の事務所がしかけたことで、写真を撮ってたのはプライスの記者みたいだ」

 朝、宗介がデスクにつくなり、旬がゴシップ誌を投げてよこした。宗介はそれを手に取ると、パラパラとページをめくって眺めた。政治ネタから芸能人のスキャンダルまで、意外と話題の幅は広い。

「週刊プライスか。まぁ悪くはないな」

 大手出版社から出ているだけあって、この手の週刊誌としては発行部数もダントツトップだ。コンビニや本屋でも目立つ場所に陳列されるからそれなりの宣伝効果が見込めるだろう。
 立花モモの名前が世に売れれれば、それだけキャンペーンの知名度もあがるはずだ。

「とはいえ、やっぱり品がないなぁ。可能な限り、差し止める方向で動いてくれ」
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