婚約破棄するはずが、一夜を共にしたら御曹司の求愛が始まりました
大地のいなくなった経営企画室はやけに静かで、少しだけ耳が寂しい気がする。
「あいつがいないと、仕事がはかどるな」
「だね」
「これが本来あるべき職場環境ですよ」
仕事とは不思議なもので、はかどればはかどるほど次から次へと新しい案件が降ってくる。結局、宗介はランチ休憩を取れないままにモモが挨拶に来ると言っていた時間を迎えてしまった。
十三時過ぎに内線電話が鳴った。相手は大地だった。
『あぁ、春日くん。どう、広報は? いや、ランチはまだだけど……えぇ?』
会社のある複合ビルには、外資系ホテルも入っている。一番下層が商業施設、中層がオフィス、上層がホテルといった構造になっているのだ。そのホテルのラウンジに、宗介と大地、立花モモとそのマネージャーでやってきていた。
週刊誌の件のお詫びに……とモモのマネージャーが言い出したことらしい。要するに、宗介の承諾を得るための接待といったところだろう。宗介はあまり気乗りしないが、隣の大地はものすごく嬉しそうだ。
「ここのランチって五千円もするんですよね~。おっ、今日のメインは和牛ステーキだって。うまそうだなぁ」
「昼からステーキかぁ……」
紅の作ってくれる優しい味の和食が妙に恋しくなった。夕食にリクエストしたら作ってくれるだろうか。そんなことを考えながら、宗介はモモのマネージャーのによるご説明という名の弁解を聞いていた。
「あいつがいないと、仕事がはかどるな」
「だね」
「これが本来あるべき職場環境ですよ」
仕事とは不思議なもので、はかどればはかどるほど次から次へと新しい案件が降ってくる。結局、宗介はランチ休憩を取れないままにモモが挨拶に来ると言っていた時間を迎えてしまった。
十三時過ぎに内線電話が鳴った。相手は大地だった。
『あぁ、春日くん。どう、広報は? いや、ランチはまだだけど……えぇ?』
会社のある複合ビルには、外資系ホテルも入っている。一番下層が商業施設、中層がオフィス、上層がホテルといった構造になっているのだ。そのホテルのラウンジに、宗介と大地、立花モモとそのマネージャーでやってきていた。
週刊誌の件のお詫びに……とモモのマネージャーが言い出したことらしい。要するに、宗介の承諾を得るための接待といったところだろう。宗介はあまり気乗りしないが、隣の大地はものすごく嬉しそうだ。
「ここのランチって五千円もするんですよね~。おっ、今日のメインは和牛ステーキだって。うまそうだなぁ」
「昼からステーキかぁ……」
紅の作ってくれる優しい味の和食が妙に恋しくなった。夕食にリクエストしたら作ってくれるだろうか。そんなことを考えながら、宗介はモモのマネージャーのによるご説明という名の弁解を聞いていた。