婚約破棄するはずが、一夜を共にしたら御曹司の求愛が始まりました
「うん。プライスの記者に自宅バレしたからね」
「準備とか大変なんじゃないっすか。何部屋もある豪華マンションなんでしょう」
「独り身だし、大した荷物じゃないよ。片づけもほぼ終わってる」
ここ数日は荷物整理のために紅のマンションではなく、自分の部屋に戻っていた。仕事の資料など大切なものの整理は済んだから後は業者任せだ。今夜は久しぶりに紅のマンションに帰る予定だった。数日顔を合わせていないだけなのに、彼女がひどく恋しかった。
「でも、今日はもう帰らせてもらおうかな。お疲れさま」
宗介は自分のデスクの上をさっと片づけると、席を立った。すると大地が慌てた様子で、宗介を引き留めた。
「どうした? 広報の仕事、本気できつかった?」
「いや、それは平気ですけど……ちょっと聞きたいことが」
「なに?」
「アイドルから女優になるのって、そんなに大変なんすか? 俺、日本の芸能事情ってよくわからなくて」
立花モモのことだろう。彼女自身も女優としての将来が不安なんだろう。ほぼ初対面の大地にぽろっと愚痴をこぼしてしまうくらいには。
「難しいだろうね。成功例ってほんのひと握りくらいじゃないかな」
主演女優クラスになると、ひと握りもいないかも知れない。バラエティタレントやいわゆるママタレで成功するのだって、そう簡単ではなさそうに思える。若さを売りにするアイドルは若さを失ってしまうとやはり厳しいのだろう。
「準備とか大変なんじゃないっすか。何部屋もある豪華マンションなんでしょう」
「独り身だし、大した荷物じゃないよ。片づけもほぼ終わってる」
ここ数日は荷物整理のために紅のマンションではなく、自分の部屋に戻っていた。仕事の資料など大切なものの整理は済んだから後は業者任せだ。今夜は久しぶりに紅のマンションに帰る予定だった。数日顔を合わせていないだけなのに、彼女がひどく恋しかった。
「でも、今日はもう帰らせてもらおうかな。お疲れさま」
宗介は自分のデスクの上をさっと片づけると、席を立った。すると大地が慌てた様子で、宗介を引き留めた。
「どうした? 広報の仕事、本気できつかった?」
「いや、それは平気ですけど……ちょっと聞きたいことが」
「なに?」
「アイドルから女優になるのって、そんなに大変なんすか? 俺、日本の芸能事情ってよくわからなくて」
立花モモのことだろう。彼女自身も女優としての将来が不安なんだろう。ほぼ初対面の大地にぽろっと愚痴をこぼしてしまうくらいには。
「難しいだろうね。成功例ってほんのひと握りくらいじゃないかな」
主演女優クラスになると、ひと握りもいないかも知れない。バラエティタレントやいわゆるママタレで成功するのだって、そう簡単ではなさそうに思える。若さを売りにするアイドルは若さを失ってしまうとやはり厳しいのだろう。