婚約破棄するはずが、一夜を共にしたら御曹司の求愛が始まりました
宗介はコホンと咳払いをひとつしてから、真面目な顔で紅に向き合った。
「一応言っておくけど……やましいことはなにもないからね。仕事の打ち合わせ以外で彼女と会ったのは、この写真を撮られたときだけだし」
「ごめん、疑ってるとかそんなんじゃないの。宗くんの気持ち……嘘じゃないのはちゃんとわかってるつもり」
「それなら、なにが……」
紅にこんな顔をさせているのだろうか。宗介にはわからなかった。そして、紅の答えは意外なものだった。
「違うの。私、立花モモちゃんのファンだから……純粋に驚いたっていうか、それだけだから」
「そうなの? 紅の好きな芸能人とか初めて聞いたな。あんまり興味ないんだと思ってた」
「いつも読んでる雑誌でモデルさんしてて、私服がすごくオシャレで参考にしてるんだ」
「へぇ……」
言われてみれば、なにかの雑誌の専属モデルもしていると彼女のマネージャーから聞いた気がする。それが紅の愛読書だったということか。
「サインくらいならもらえるかも。頼んでみようか?」
「いいの? 嬉しいなぁ。そうだ、私先にお風呂入ってきちゃうね」
その言葉とは裏腹に、紅は沈んでいるように見えた。自分を避けるかのように急にお風呂に入ると言い出した彼女に、宗介はなんと声をかけたらいいのかわからなかった。
(やっぱり……なんとしてでも差し止めるべきだったかな)
「一応言っておくけど……やましいことはなにもないからね。仕事の打ち合わせ以外で彼女と会ったのは、この写真を撮られたときだけだし」
「ごめん、疑ってるとかそんなんじゃないの。宗くんの気持ち……嘘じゃないのはちゃんとわかってるつもり」
「それなら、なにが……」
紅にこんな顔をさせているのだろうか。宗介にはわからなかった。そして、紅の答えは意外なものだった。
「違うの。私、立花モモちゃんのファンだから……純粋に驚いたっていうか、それだけだから」
「そうなの? 紅の好きな芸能人とか初めて聞いたな。あんまり興味ないんだと思ってた」
「いつも読んでる雑誌でモデルさんしてて、私服がすごくオシャレで参考にしてるんだ」
「へぇ……」
言われてみれば、なにかの雑誌の専属モデルもしていると彼女のマネージャーから聞いた気がする。それが紅の愛読書だったということか。
「サインくらいならもらえるかも。頼んでみようか?」
「いいの? 嬉しいなぁ。そうだ、私先にお風呂入ってきちゃうね」
その言葉とは裏腹に、紅は沈んでいるように見えた。自分を避けるかのように急にお風呂に入ると言い出した彼女に、宗介はなんと声をかけたらいいのかわからなかった。
(やっぱり……なんとしてでも差し止めるべきだったかな)