俺様上司との不確かな関係~好きになっちゃダメですか?~
~青海隼斗side~

この世にはこんな小説みたいなことががあるんだ。と思った。

結菜は「本田結子はわたしなの」と言った。

結子は生きてると…。

自分が母親の名前を使っていたのだと…。

そういえば…結子は死んだと聞かされていながら、お葬式にも出なかったし、亡骸を見たわけでもなかった。
ただ、忽然とその日から俺の前から結子がいなくなってしまっただけだった。

俺はおばあちゃんが言った「結子は死んだ」という言葉をずっと信じていたにすぎない。

え?じゃぁこの目の前にいるのが結子だっていうのか?

当時4年生だった結子が28歳になった今面影なんて全くなくたっておかしくはない。

だいたい小学6年生の頃の記憶なんてもう自分の中で作り変えられてて、結子がどんな容姿をしていたかなんてほとんど覚えちゃいないのかもしれない。

ただ、結子と俺の間には心のつながりが強烈にあった。
だから、いままで結婚もしなかったのに…。


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