俺様上司との不確かな関係～好きになっちゃダメですか？～
「隼斗さん。最近はどうなの？結婚する気になった？」

母の夏子は産みの母が死んだすぐあと、青海家の後妻として、俺の母として俺を育ててくれていた。

それは北斗が産まれてからも変わらなかったし、愛情を注いでくれていたことはとても感謝している。

この母に育てられて、北斗のほうが俺より大事にされてるだろなんて感じたことは一切ない。

ワインを飲みながら、こちらを涼しげな表情で見る。

「結婚は…しませんよ。僕は。それは前から言ってるでしょう？」

「そうね…。」

ふっと下を向いた時の表情は北斗とそっくりだ。

「けれど…隼斗。おまえが結婚しないと…会社のこともあるだろう？」

父が横から口を出した。

父も俺に愛情を注いでくれていた。
俺と北斗には同じように愛情をかけてくれていたし、会社の跡継ぎは誰が何と言おうと俺なのだと父はずっと言っていた。

そして、北斗は母の姓である風波を継いだ。

「それはわかっていますが…それはどうすることもできませんよ。」

そこは昔から変わらない…。
絶対…結婚はできないんだ…。

「そうか…」

父も無理強いはしない。
俺が頑固だってわかってるから…。



もうすぐ…春になる…。
そしたら…
俺はまた…

京都へ　旅立つ…。


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