俺様上司との不確かな関係~好きになっちゃダメですか?~
その日の夜は北斗はめずらしく怒っていた。

2人でわたしのマンションの最寄り駅で降り、駅前の小料理屋でカウンターに座った。

「ゆーちゃん。もう俺我慢できないから言う。このままだとゆーちゃんがかわいそうすぎだし…。」

お刺身をちょうど全部食べ終わったわたしは、北斗の顔を見た。

「かわいそうって…?」

「今日から兄貴が京都に行ったの…なんでか知ってるの?」

「え…?出張じゃないの?」

「出張…ね…。ゆーちゃん。心して聞いて。けど・・いつか知らないといけないことなんだから…。」

なに…?

北斗の口ぶりに不安が募る。
ドクドクと心臓が音を立てはじめた。

聞いちゃいけないことを聞こうとしてるのだろうか?
ここで遮れば聞かなくて済むのだろうか…。

「兄貴には…忘れられない()がいるんだ。」

考えているうちに、北斗が先に言ってしまった。

「え?」

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