俺様上司との不確かな関係～好きになっちゃダメですか？～
「俺は結菜がほしい。」

思わず口をついて出た言葉に自分でも絶句した。

「は？忘れられない女の亡霊を背負ってる男がよく言うよ。」

北斗を見ると怒りの眼差しを俺に向けてる。

北斗の言うことはもっともだ。
もっともなんだけどさ…。

「そんなに好きなら、なんで京都に行ったりしたんだよ。ゆーちゃんの気持ち考えろよ。」

「…」

「俺がどんな思いでゆーちゃんのことあきらめたか知ってんのか？このバカ兄貴！」

北斗が酒に酔うなんてことないくせに…若干酔っぱらっているかのような言動をしはじめてる。

「知らねぇよ。どうせお前のことだから親友の彼女だから親友との友情とったとかそんなこと言うんだろ？」

北斗はいつだっていい子ちゃんだった。

「ちげーし。一哉には1回喧嘩売ったよ。けど、ゆーちゃんは一哉が好きだった…からあきらめた。今だって…」

「今だってなんだよ。」

「ゆーちゃんは兄貴を好きなんだよ。別れてもな。だからそんなに好きならちゃんとしろ！京都の亡霊はなんとかしろ！」

北斗が俺の胸ぐらを掴んだ。

カウンターの前にいるバーテンダーが驚いてこちらを見た。
喧嘩をするなら出て行けと言わんばかりだ。

「兄貴がゆーちゃんを幸せにできないなら、俺が全力で奪う！」

北斗の目は真剣だった。
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