10日間の奇跡
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誕生日にネックレスをもらったあの日、優に行きたい場所と聞かれたわたしは、県外で有名な水族館に行きたいといった。
そしてその週の休みの日、ルンルン気分でわたしと優は出かけた。
もしわたしが県外なんていわなかったら、なにも望まなかったら、運命は大きく変わってたんだと思う。
「ねえねえ、すごいねこれ!」
「うん。沙織の顔と同じくらいでかいな」
「それ褒めてる?けなしてる?」
「はは、冗談だよ」
すぐに冗談をいってくるところも、
「危ないから」
手を繋いでくるところも、
「今日沙織とここにこれてよかった」
ストレートに伝えてくれるところも、
全部、全部、好きだった。