10日間の奇跡


あの日は夏休みだった。

再婚してはじめての旅行ということで家族でここにきたんだ。

優は部活で忙しそうだったから1泊だけだったけど。

そして夜中わたしたちは外へと向かった。

海へは徒歩10分くらいでいけて、わたしと優は抜け出した後ずっと無言のままこの海まで歩いた。

夏休みだったから昼間は人でいっぱいだったこの海岸も、夜は嘘のように静かでただ波の音だけが響いていたのを思いだす。



「まさか優も入学式の日にわたしに一目ぼれしたなんて思わなかったな」

「俺もまさか自分が一目惚れするなんて思ってなかった」




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