10日間の奇跡
嘘であってほしかった。
このまま消えてなくなりたかった。
恥ずかしくて顔さえあげられなかった。
先輩たちにみられてないことだけをこの数秒間必死に願った。
「ちょっと、大丈夫?」
でも、そんな上手く事は運ばなかったらしい。
「は、はい。だ、だ、大丈夫です」
恥ずかしさからなのか緊張からなのか上手く言葉がでてこない。
「ちょっとごめんね」
「────っ、」
「うん、赤くはなってるけどたんこぶにはなってなさそうだね。よかった」
謝ったと同時に腕が伸びてきて、彼の細くて綺麗な手がわたしの額にふれた。
彼の顔がすぐ近くにある。
それだけで心臓がバクバクと激しく音を立てているのがわかる。