10日間の奇跡


「沙織と出会えて沙織と付き合えて、すごく幸せな人生だった」

「そんなの・・わたしもだよ」

「それに沙織が死ななくてよかった。生きていてくれて本当によかった」

「ねえ、優。わたしたちまたやり直そうよ、ね?こうしてまた出会えたんだからさ、これは奇跡だよ、奇跡」

「・・・・」

「ねえなんで黙るの?なにかいってよ」

「沙織」

「・・・なに?」

「今日2人分で予約したんだ」

「予約?」

「そう。あのホテル」

「っ」

「今日はずっと一緒にいよう。おばさんには、俺から頭下げてきて了承とったから大丈夫」

「そこまでしてくれてたの?」

「うん。俺のこと知らないのに、よく了承してくれたと思う」


そういう優はすこし寂しそうだ。

自分が忘れられてるってどれだけつらいんだろう。

わたしには想像もつかない。
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