10日間の奇跡
もう一度優に会いたい。
そしてちゃんとお別れをいいたい。
それがどんなに悲しいことでも、それでもこのまま会えないほうがわたしはきっと後悔する。
「お気をつけていってらっしゃいませ」
最後まで優しかったスタッフの人に頭を下げて外にでた。
正直にいうと手掛かりがなにもない。
まだこの町にいるかもしれないし、もしかしたらもう地元のほうに戻ったかもしれない。
きっと携帯なんて通じないし。
とりあえずこの辺を探そうと思ってひたすら走り回った。
もう足がパンパンだったけど、それでも優のためならいくらでも走れた。
でも海にもいなくて、家族旅行で訪れたところもいってみたけどいなくて。
今度は地元のほうに戻ってみてまた探すことにした。