10日間の奇跡
その地についたころには、夕方になっていた。
そしてある場所へと向かうと、そこにはやっぱり優がいた。
ただじっとそこで終わりを待つかのように立っていた。
「・・・優、探したよ」
「ずるいな俺」
こっちを見ずにそう呟いた優。
「本当は会わないまま消えるつもりだったけど、結局はそれができなくてあんな手紙残した。そうすれば沙織はここにきてくれるんじゃないかと思って」
「・・・」
「だめだよな俺。ほんとだめだめだ」
優はその場に座り込んだ。
ここは優が亡くなった場所。
あの日事故に遭った場所だ。
そんなところで一人で終わりを迎えようとしていたと思うと胸が痛む。
優はなにも悪いことをしたわけじゃないのに。