10日間の奇跡
「わたし絶対忘れないからね」
「・・・無理だよ」
「わたしを誰だと思ってるの?前の記憶だって思い出したんだから、大丈夫」
優が生きてこなかった存在になんてさせない。
わたしが絶対に優がこの世界に生きていたということを証明してみせる。
「沙織はもう大人になったな」
ずっと子ども扱いされるのが嫌で、優と同じ目線に立ちたいと思ってたけど。
「ううん。わたしはずっと子供でいい」
優を不安にさせないように頑張ってふるまってるけど本当はもう泣きそうなの。
優が消えちゃうことなんて信じてないし、信じたくないし、優がいない世界になるならわたしも死のうかなってそう思ってるの。
「そうだな。沙織は子供だ」
そういって頭をぽんぽんとされる。
「・・・ごめん」
「だから・・・っ謝らないでよお」
最後まで泣かないと決めてたのに。
やっぱり無理だ。