10日間の奇跡
「そう慌てるな。戻れるといっても幽霊としてじゃ。生きているものとしゃべることもできないし、ふれることもできない」
「・・・じゃあなんのために・・」
「そなたのように突然死んでしまった人間は、残された人たちのことを一目みたいという人間もおるのじゃよ。病気とかである程度死がわかっていた人間でも、そういう人間は山ほどおる」
そういわれてたしかにな。とも考える。
でもそれって俺が死んで悲しんでいる人たちをみにいくってことだろ?
それって余計胸が苦しくなりそうだ。
きっと触れたいと思ってしまう、しゃべりたいと思ってしまう。
そう考えると右のドアも俺にとったら違う気がした。