10日間の奇跡
「沙織!おはよう!」
わたしがいたことに気づいたらしく、彼はグラウンドから大きく手を振っている。
「え、なにあれ?」
「もしかして彼女とか?」
「ええ、でも全然かわいくなくない?」
それとともに、そんな声が聞こえてくる。
思わず耳をふさぎたくなる。
せっかくの楽しい高校生活がこんなことで崩れたくなんてない。
ああ、わたし今、茅野先輩と付き合ったことを少しだけ後悔した。
そんな自分に嫌気がさした。