10日間の奇跡
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「沙織の好きな食べ物ってなに?」
「うーん、なんだろう」
「なにかないの?これだけは絶対外せない!みたいな」
「あ!」
「あった?」
「クレープ!チョコバナナクレープ!」
「はは。まさかのそっち」
「えー、だめだった?」
「ううん。でもデザートだとは思わなかった」
わたしの髪をなでながらそういう優は完全にわたしのことを子ども扱いしている。
「もう、じゃあ優の好きなものは?」
「ハンバーグ。それもケチャップオンリーの」
「ええ、ケチャップがいいの?デミグラスとかじゃなくて?」
「うん。ケチャップで絵とか書いてあったら最強」
「ふふ」
なーんだ。優だって子供じゃん。というか優のほうが子供だ。
「おい、なに笑ってんだよ」
「えー、なんでもなーい!」
「こら!白状しろ!」
こうやって、優とじゃれあう時間が大好きだ。
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