10日間の奇跡


「どうして、知ってるんですか?」

「ん?」

「クレープが好きなのもチョコバナナなのも、どうして?」

「・・・昨日いってたからかな?」


少し沈黙があったあと先輩はそう口にした。

でも嘘だ。そんな話昨日してない。

いくら記憶力がないわたしでも昨日話した内容くらいはまだ覚えてる。


「ほら、食べよ?」

でも先輩はそんなわたしの疑問なんておかまいなしに、わたしにクレープを差し出した。


「あ、お金・・」

「いいよ。奢り」

「でも」

「俺は沙織が幸せそうに食べてるのみるだけで嬉しいからさ。ね?」

「・・・ありがとうございます」


なんだか不思議な気持ちに包まれる。

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