10日間の奇跡


「これから電車に乗るんだけど、いい?」

「はい」

ここまできて断るわけにもいかず、どこにいくのかも謎のままわたしたちは電車に乗った。


休みの日だからか少しだけ混んでいたけど運よく2席あいていたのでそこに座る。


「急でごめんね」

「先輩さっきから謝ってばっかりですよ」

「そうなんだけど、でもなにも言わないから変だなって思うでしょ?」

「まあそれはそうですけど・・・でも教えてくれないんですよね?」

「うん。内緒」


先輩ってミステリアスなところもあるんだな。

でもまだ付き合って3日しかたってないのに、こんな風に行先も知らずについていくわたしもおかしいのかもしれない。


ただなんとなく、先輩とはずっと前から一緒だった気がするんだ。

はじめて会ったときはそんな風に思わなかったのに、やっぱり先輩がわたしのことを知っていたように、わたしたちはどこかで出会っていたのかもしれない。

< 49 / 147 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop