10日間の奇跡
「先輩?」
「・・・ごめん」
「・・・どうして、泣いてるんですか」
先輩は海を眺めたまま静かに泣いていた。
その姿に胸がきゅっと締め付けられる。
「こんなこともう二度とできないと思ってたから」
「え?」
「沙織とこうして2人で出かけられて、もう十分幸せをもらった」
まるで別れを告げているようなその口ぶりだった。
でも、それは間違いじゃなかったらしい。
「ごめん。別れよう」
「・・・なんでですか」
全然意味がわからない。
わたしたちまだ付き合って3日しかたってないのに。
まだクレープを一緒に食べたことくらいしか思い出がないのに。