10日間の奇跡


「先輩?」

「・・・ごめん」

「・・・どうして、泣いてるんですか」


先輩は海を眺めたまま静かに泣いていた。

その姿に胸がきゅっと締め付けられる。


「こんなこともう二度とできないと思ってたから」

「え?」

「沙織とこうして2人で出かけられて、もう十分幸せをもらった」


まるで別れを告げているようなその口ぶりだった。

でも、それは間違いじゃなかったらしい。


「ごめん。別れよう」

「・・・なんでですか」


全然意味がわからない。

わたしたちまだ付き合って3日しかたってないのに。

まだクレープを一緒に食べたことくらいしか思い出がないのに。
< 51 / 147 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop