10日間の奇跡


「はい。これ飲んで」

そのまま何を話すわけでもなく弥生の家についた。

わたしが好きなココアを持ってきてくれてその場に座った。

「・・・2人ともごめんね」


たかが失恋。それなのにここまで落ち込んで2人に迷惑をかけるなんて弱い。



「謝るな」

きつい口調だったけど、それは凌なりの優しさだったんだと思う。

「無理して笑わなくていいんだよ」

そういって背中をさすってくれる弥生。


「あいつも所詮その程度の男だったってことだよ。沙織一人置いて帰るなんて最低だろ」

「ちょっと、凌」

「沙織があいつのことまだ好きなのはわかってる。でもあいつよりも俺は沙織のほうが大事だから。だからあいつが許せない」

わたしが怒らない代わりに、凌が怒ってくれてるんだなってわかる。

わたしが言えない言葉を、代わりにいってくれてる。

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