10日間の奇跡


「ねえ沙織、なにか思い当たる節ない?」

「・・・あのね、初めて会った日先輩こういったの。俺は前から知ってたって」

「沙織のこと?」

「うん。そのときは全然わからなかったんだけど、この3日間でわたしも先輩のこと知ってるような気がした。どこで会ったことあるとかなにもわからないのに、不思議だよね」

「それを茅野先輩にいった?」

「ううん。いってない」


そういってから、昨日スーパーであったことを思い出した。


「そういえば」

「ん?」

「ふと光景が浮かんでくるときがあってそこに一人の人がいるんだけど、その人が男なのか女なのかもわからなくて。でもその人と先輩が同じものを好きでね。それを先輩にいった」

「そしたら?」

「すごく驚いてて、なにもいわなかった。でもそのあとすぐ帰っていった」

「それじゃない?」

「え?」

「先輩はなにか抱えている秘密みたいなのがあって、それを沙織に知られたと思ったからとか」
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