10日間の奇跡
「わたしも一緒にいこっか?」
「ううん。大丈夫。ちょっといってくる」
答えをしりたい。
そっちの気持ちのほうが強くて。
わたしは彼に導かれるように教室を後にした。
「・・・あの」
「んー?」
「本当に茅野先輩のこと知ってるんですか?」
「えー?俺のこと疑ってるのー?」
ふざけた口調のこの人は正直信頼できなくて、ついてきたことに後悔した。
「大丈夫大丈夫。あの教室に優も呼んでるからさ。ね、いこ」
そういって腕を掴まれて。
そのまま人気のない教室へと連れ込まれた。
「いたっ」
「なんだよ。そんな強く持ってねえじゃん」
「・・・だましたの?」
教室には優どころか誰ひとりとしていない。
暗く静まったこの空間は、いまが昼休みだとは思えないほどだった。