10日間の奇跡
「ゆ、優くん。なんでっ、ここに?」
代わりに聞こえてきたのは女の怯えた声だった。
わたしも強くつぶった目を開ける。
と、そこには女の人の手を掴んだ茅野先輩がいた。
「沙織!」
それに弥生と凌まで。
「よかった、間に合って」
「どうして?」
「やっぱりなんか危ないなって思ってついてったの。そしたらこの教室入ってくのがみえて。凌に連絡して先輩連れてきてもらったの」
「・・・ありがとう」
もし弥生がついてきてなかったら今頃どうなってただろう。
きっと殴られてからもなにか色々されたに違いない。
そう思うと体が震えた。