10日間の奇跡


でも実際に凌が選んだのは弥生だった。

今はとっくのとうに吹っ切れてるけど、こうやって頭を触られるたび、少しドキッとする。

そして思い出すんだ。

お父さんが死んじゃったってわかって泣いたわたしに、凌はずっと隣でわたしの背中をさすってくれたこと。

あの日から凌はわたしにとって特別であり、大事な存在になったんだと思う。



「沙織は可愛いんだからさ、もっと自信もちなよ、ね?」

「・・・うん」

そうはいってくれるけど、実際自信がないわたしはその言葉をうまく受け取れない。

こういうとき素直になれたらもっと変わるのかな。


< 8 / 147 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop