10日間の奇跡
でも実際に凌が選んだのは弥生だった。
今はとっくのとうに吹っ切れてるけど、こうやって頭を触られるたび、少しドキッとする。
そして思い出すんだ。
お父さんが死んじゃったってわかって泣いたわたしに、凌はずっと隣でわたしの背中をさすってくれたこと。
あの日から凌はわたしにとって特別であり、大事な存在になったんだと思う。
「沙織は可愛いんだからさ、もっと自信もちなよ、ね?」
「・・・うん」
そうはいってくれるけど、実際自信がないわたしはその言葉をうまく受け取れない。
こういうとき素直になれたらもっと変わるのかな。