10日間の奇跡


────コンコン

「こんにちは」

入ってきたその人は、昨日お母さんがみせてくれた写真の人と一緒で。

そして茅野先輩とものすごく似ていた。

弥生と凌は写真を見てなかったから、ものすごく驚いたままぽかーんと口を開けている。


「突然すいません」

「いや。いいんだよ。それで、わたしに聞きたいことがあるというのはなにかな?」

やわらかい感じの雰囲気に包まれていて、優しくて、とてもかっこいいおじさん。

茅野先輩が大きくなったらこんな感じになるんだろうなって勝手に想像してしまった自分が恥ずかしい。



「あの、茅野優という人をご存じですか?」

「かやのゆう・・・・。わたしとすごく名前が似てますね。でも残念ながらわかりません」

「えっ」

衝撃だった。だってこんなにも似てて、名前も似てて、それなのに知らない人なんて。

わたしは先輩と撮った写真をみせた。

別れを告げられてからもどうしても消せなくてとっといたものだけどとっといてよかった。


「はは。顔までわたしにそっくりだ」

そういって驚いた顔をしたあとに笑った茅野さんは本当に彼のことを知らないみたいだ。
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