10日間の奇跡


「・・・あの、本当にご存じないんですか?」

「残念ながらね。わたしは結婚したんだが子供ができなくてね。そのせいで妻とも別れてしまっていまはひとりなんだ」

「そう、だったんですか。すみません」

「いいんだよ。いやあ、でも結婚してすぐに子供ができてたら本当にこれくらいの年ごろだったかもしれないななんて思うと、他人事のようにも思えないな」

「・・・」

「こんな話されても困っちゃうよな、すまない。それに期待には沿えなかったみたいで」

「いえ。こちらこそ急におしかけてすいませんでした」


立ち上がってお辞儀をして事務室をでた。

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