ストックホルムの恋人

お出かけ

私は外出を止められているの。
外に出ると良くないことが起こるって。


パパとママと暮らしている時もそうだった。
1人で外に出ることは出来ず、学校も車で送り迎えで寄り道なんて出来なかった。
箱入り娘同然だったの。
そんな生活は息が詰まっちゃう!
そう思って家を飛び出して、その先で彼と出会ったの。





それなのに彼と一緒に住んでいても私は外の世界をよく知らないまま。
そんなの退屈だわ。
今は彼も出かけているみたいだし、私もこっそり外出しちゃおうかな...





ダメだって言われていることをするのはなんだかドキドキする。
家には誰もいないのに自然と音を立てないようにゆっくり行動してしまう。
部屋を出て廊下を真っ直ぐ行くと玄関があった。
靴は下駄箱の中にしまわれていた。
几帳面な彼を想い、胸がチクリとする。


黙って外に出たのがバレたら彼は怒るだろうか...
けれど、外に対する好奇心が勝っちゃった。
ごめんなさいね。

優しいあなたなら、きっと許してくれるよね...?



ドアを開け、私は外の世界へと飛び出した...
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