誓いのstatice
その時
カラーン~♪
1人のおじいちゃんが来店した
「優人、いつものコーヒーお願い」
「いらっしゃいませ。今お作りしますね」
おじいちゃんは慣れた様子でカウンターのイスに腰を下ろした
「高丸さん、今日からバイトで入ってもらった大川麻耶ちゃんです。よろしくお願いしますね」
マスターはおじいちゃんにコーヒーを出しながら私を紹介してくれた
「大川麻耶です!よろしくお願いします!」
私は慌ててお辞儀をした
「そぉかい、そぉかい。またえらいべっぴんさんが入ったのぅ。わしは高丸というてな昔からの常連じゃぁ、優人が生まれた時から知ってるんだ。この子の事よろしく頼むなぁ」
「はい!」
『statice』には昔からの常連さんや
通りすがりの新規のお客さんが次々と来店してくる
老夫婦から自分の親世代、若者世代まで
年齢も幅広い
恋人だったり友達同士だったり
年代も組み合わせもバラバラ
時間帯によってもお店に来るお客さんの特徴が違った
朝は通勤・通学する前のサラリーマンや学生
昼は主婦やお年寄り
夜は若いカップルや仕事終わりのOLさんだったり
朝から夜まで途切れることなくお客さんが来る
(たった1日でこんなにお客さんが来るんだ…大変だ…。でも色んなお客さんに会えるから楽しいかも‼︎)
「ただいま」
今日1日を振り返りながら
ホールの掃除をしていたら
奥さんのお見舞いに行っていたマスターのお父さんが帰ってきた
「おかえりなさい…です」
窓の外を覗けば辺りは真っ暗
時計を見たら20時を過ぎ閉店時間となっていた
「麻耶ちゃん、初日のバイトで疲れてるだろう。後はやっておくから優人に送ってもらって」
マスターは私達の会話を聞いていたらしく
エプロンを外しながら駆け寄ってきた
「麻耶ちゃん、行こうか」
「…大丈夫ですよ…。1人でも帰れます。家もすぐ近くだし…」
(…って言っても久しぶりに歩く夜道はちょっと怖いけど…でもマスターだって後片付け残ってるみたいだし、1人で帰ろかな…)
私が住んでいるアパートは『statice』から歩いて15分かかる静かな住宅街にある
「辺りも暗いし、夜道を女の子一人で歩くのは危ないから、送ってくよ!、俺なら片付けも終わってるし気にしなくても平気だよ!」
マスターが微笑見ながら私の顔を見た
「…ありがとうございます…」
私は申し訳なさを感じる半面
心のどこかで安心していた