誓いのstatice


辺りは既に暗くなっていて
昼間は寂しく感じたイルミネーションも
今ではきらびやかに光り輝いていた




「……ッ……」

(もう『statice』に行けない…)



目に映るイルミネーションの輝きも
霞んで見えるくらい
私の目からは涙が溢れ出ていた





家について玄関の扉を開けた瞬間
メールの着信音が鳴った



ピロリン〜♫




相手は深瀬さんだった


「……ッ?」
(何だろ…写真だ…)



深瀬さんからのメールには
文字もないただ写真だけが
添付されているメールだった






「…えッ…⁉︎」



私は自分の目を疑った



スマホの画面いっぱいに
映し出されていたのは

深瀬さんと男の人が
裸姿でベッドに寝ている写真だった




「深瀬さんと…勇樹ッ…」
(えッ…どぅいうこと?…)




私は信じる事ができず
もう一度写真を見返した



何度見ても裸姿の男の人は
勇樹に見える



信じたくない気持ちで
別の人ではないかと
証拠を探そうと画面を見るけど
むしろ
勇樹であると
確信に迫る証拠を見つけてしまった



「あ…この日…」



画像には
勇樹が朝帰りした日と
同じ日付が記載されていた





「………」
(勇樹が浮気……
だから深瀬さんの名前をだしたとき…
様子がおかしかったんだ…)



私は勇樹に電話をかけた





プルルルッ♫


「もしもし」


呼び出し音の後に
勇樹の声が聞こえてくる



「…勇樹…」





「いきなりどうしたんだよ?」



いつもと変わらない勇樹の声を聞き
涙が溢れ出てくる私は
声を出す事すらままならない


「………ッ…」





何も喋らない私の異変に気が付いたのか
勇樹は優しく喋り続ける




「今日少し遅くなるけど夕ご飯は一緒に食べよう…Xmasケーキも買って帰ろうと思ってたからさ」




私は声にならない声で
勇樹に尋ねた


「………ねぇ、勇樹…深瀬さんと…ッ…体…の…関係…ッ…」



私は最後まで言い切れずに
泣きじゃくる



「……ごめん…」




勇樹は言い訳をするわけでもなく
電話越しに素直に謝る





私の見間違えであって欲しいと
心の片隅で期待していた分
勇樹の謝罪の言葉が
現実なのだと思い知らされる


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