誓いのstatice


新年を迎え三箇日を終えた公園は
ひと気もなく閑散としていた



「………」


私は噴水の前にあるベンチに
弱々しく腰を下ろした



寒さが身に染みコートのポケットに
手を突っ込んだ



ガサ




コートのポケットからは
Xmasィヴに買ったスターチスのブレスレットが出てきた





「変わらぬ心…」

(マスターと過ごした6ヶ月間は本当に
楽しかったなぁ…)



思い出すのはマスターの顔ばかり




「………マスター…」




封印していたはずの気持ちが溢れ出したと同時に
勇樹に対する罪悪感で押し潰されそうになる





「……ッ…」

私はスターチスのブレスレットを
コートのポケットにしまい込んだ




あの日からどのくらいの日が経ったんだろう





「………」
(私は何をやってるんだろう…
私はどうしたいんだろ………)





私の頬に涙が辿った時
後ろから聞き覚えのあるが声がした



「麻耶ちゃんッ…」




「……えッ…」



振り返るとそこにはマスターが立っていた




「………ッ」

(嘘…でしょ…なんで…)





「………」

マスターは何も喋らず
私の隣りに腰を下ろした





驚きを隠せない私に
マスターは「ここに来れば会えると思った」
と言っただけでまた口を噤んだ



「………」

「………」


しばらく私とマスターの間には
静かな時間が流れた



「………」



終始無言で俯いたままの私の頭に
ポンっとマスターの手が乗った



「麻耶ちゃん、心配した…」





マスターは怒るわけでもなく
大切な物を触るかの様に
頭を優しく撫でてくれた






(私は最低だ…この期に及んでまだ自分の事しか考えてない…)

「…ごめんなさい……ッ…」




マスターに謝罪の言葉を口にしたと同時に
私の目には涙が浮かんでいた




「気の済むまで泣けばいいよ。
今も昔も俺が側にいるから」





マスターは私の腕を引っ張り
私を優しく抱きしめ背中を摩ったくれた







「……ッ…グズッ……」

(勇樹に裏切られ…気持ちが傾きかけていたマスターには絵里さんがいる…自業自得だよね…)



「…グズッ…ッ…」
(挙げ句の果てにはまだ、こうやってマスターに甘えてる…私はどれだけ最低なんだよ…)



「……グズッ……ッ」


私は気の済むまでマスターの胸の中で泣いた





どれだけの時間泣いたんだろ



「落ち着いた?」


「はい」


落ち着きを取り戻した私の顔をマスターはそっと覗き込む




「俺の話聞いてくれるかな?」




頷く私にマスターはゆっくり話し始めた


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