誓いのstatice


部屋に残された私も力なく『statice』へと向かった



”結婚”




(こんな状態で…結婚なんてできないよ……どぅしたらいいの…
…どんな顔でマスターに会えばいいのかな…)




やるせない気持ちで歩いている私の足が自然と止まる



「………」



『statice』の扉には【臨時休業】と書かれた看板が吊るされてあった




『statice』の前で立ち尽くす私に
マスターのお父さんが店の中から扉を開けて
出迎えてくれた


「麻耶ちゃん…おはよう」


「おはようございます…長い間お休みを頂いてすいませんでした」




私はマスターのお父さんに頭を下げる



「大丈夫だよ、今日から麻耶ちゃんが復活するって優人から聞いて麻耶ちゃんを待ってたんだ」




「臨時休業って何かあったんですか?」



電気もつけず
朝日だけの店内は少し暗く感じた
 



「実は今朝、絵里ちゃんが自殺未遂で発見されて
意識不明の重体で救急搬送されたんだよ」


「…えッ?……」


「今も優人が付き添いで病院にいる」


「………」



マスターのお父さんが
今の状況を教えてくれているのに
私の頭は真っ白


"意識不明"

”自殺”

”救急搬送"



会話の節々に聞きとる事が出来たワードが
ことの重大さを物語っていた



「…今から病院に行くんだけど、
麻耶ちゃんも一緒に行くか?」


マスターのお父さんが
私に優しく尋ねてくれた


「……ッ」


私は唇を強く噛み締めた


(絵里さんが自殺を計った責任は私にある)



「私も病院に行きます」



こうして私はマスターのお父さんと一緒に
絵里さんが運ばれた病院に向うことにした



< 49 / 79 >

この作品をシェア

pagetop