誓いのstatice
〜麻耶の夢〜
喪服姿の幼い私と見知らぬ小さな男の子が
あの"幸せの場所"にいる
入り口付近の噴水で
うずくまって泣いている私に小さな男の子が涙目で話かけてくれる
「……ッ…グズッ…」
「ねぇ、何で泣いてるの?お名前は?」
「私の名前はおおかわまや、あなたは?」
「よしざわゆうと」
よく見ると男の子も涙目になっている
「なんで泣いてるの?」
「僕は泣いてなんかないもん、それよりまやちゃんは何でここにいるの?」
「ここに来たらお父さんとお母さんに会えると思ったから、ここに来たの…グズ…ッ」
「僕もお父さんとお母さんとはぐれちゃったんだ」
「……グズ…ッ」
「泣くなよ、僕もまやちゃんのお父さんとお母さんを一緒に探してあげるから」
男の子は小さな手で幼い私の頭を優しく撫でた
「…グズッ…ううん、大丈夫、私のお父さんとお母さんは…ずっと前に天国に行っちゃったんだ…ここでお父さんとお母さんに約束してたの」
「何を約束したの?」
「将来のお婿さんにここでこのお花をいっぱいもらうんだってお父さんとお母さんに約束したの」
「そっか、僕と同じだ!」
男の子は嬉しそうにはしゃいだ
「え?ゆうと君も?」
「うん!僕もね、将来大きくなったらスターチスってお花をお嫁さんに渡して幸せにするんだ!!」
私と男の子はお互いに笑い合った
「ゆうと君、私ね、ここにお父さんとお母さんとでね、いっぱい来た事あるからいっぱい知ってるんだよ!だからゆうと君のお父さんとお母さんを探すの手伝ってあげる!」
「本当!?いいの!」
「うん!」
私と男の子は手を繋いで公園内を歩き回った
「…ッ…グズッ…お父さんもお母さんもいないよ…グズッ…」
私達はゆうと君のお父さんとお母さんを見つけ出せずにいた
「…グズッ……」
「泣かないで、ゆうと君」
私は泣きじゃくるゆうと君の頭をポンポンと撫でた
「…グズッ…グズッ…」
「このお花はね、幸せになれるお花なんだって!お父さんとお母さんに教えてもらったの!」
私はスターチスの花を指差して
男の子を見つめた
「グズッ…」
「こんなにいっぱいお花が咲いているから大丈夫だよ!いっぱい幸せになれるよ、お父さんもお母さんもすぐに会えるよ!」
私達はもぅ一度
入り口付近にある噴水近くに戻る様にした
「「優人」」
「お父さん!お母さん!」
男の子はお父さんとお母さんを見つけ出したと同時に私と繋いでいた手を離した
〜麻耶の夢終わり〜