願い
第七章 『誰かのために』
『おう!お前元気してるか?』

この懐かしい声。

拓真がホストを辞めてから何年になるだろう。
 
拓真は俺に影響されたとか言って、必死になって金を稼ぎ、二年で借金を返し、ホストを辞めていた。

高校に行かなくなった俺は、強制的に退学になり、拓真がホストを辞めてからは拓真とは会う機会もなくなっていた。
 

結局俺は……高校を卒業することができなかった。


『おう!拓真久しぶりだなあ!突然電話してきてどうしたんだよ?元気してたのか?』

『そんなことより、お前、店バックれたべ?さっき俺んとこにオーナーから電話掛かってきてよ、智也知らないかって』

『わりーな、迷惑掛けちまって』

『まあ別に良いけどよ。オーナーにも随分会ってないから電話掛かってきてびっくりしたよ』

『わりー』

『お前今どこいる?久しぶりに会わねーか?』

『いま家にいるよ、拓真どこいる?』

『じゃー……お前んち行くよ、待ってろ』
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