願い
第三章 『喪失』
「お前、どうしてそんなに頑張れるんだ?」
ホスト生活も三ヶ月目に入った頃、拓真に聞かれたことがあった。
拓真も一緒になってホストで働いていたが、飲みすぎた次の日は拓真は必ずと言っていい程、学校を休んでいた。
俺はおふくろの願いを知っていたからいくら二日酔いになっても、苦しくても学校には行き、仕事にも行っていた。
そんな俺を拓真は不思議に思っていたようだ。
「別に、頑張ってねーよ」
「いや、お前は凄いよ。あんなに酒飲んで、何人もの客の相手したって次の日にはちゃんと学校に行ってるんだもんな、俺には真似できねーよ、お前はすげーよ」
拓真に言われるまで俺は考えたこともなかった。
俺は凄いのだろうか…?
他人には俺の姿がそう映るのだろうか。
俺はずっとおふくろの姿を見てきたから、俺の生き方も自然とこんな生き方になっていたのだと思う。
凄いのは俺ではない。
出て行った親父の借金を文句も言わず、返し続けているおふくろが。
毎日毎日、泣き言一つ言わず、働き通しのおふくろが。
いくら忙しくてもご飯を作ってくれるおふくろが。
一番、凄いんだーーーー
ホスト生活も三ヶ月目に入った頃、拓真に聞かれたことがあった。
拓真も一緒になってホストで働いていたが、飲みすぎた次の日は拓真は必ずと言っていい程、学校を休んでいた。
俺はおふくろの願いを知っていたからいくら二日酔いになっても、苦しくても学校には行き、仕事にも行っていた。
そんな俺を拓真は不思議に思っていたようだ。
「別に、頑張ってねーよ」
「いや、お前は凄いよ。あんなに酒飲んで、何人もの客の相手したって次の日にはちゃんと学校に行ってるんだもんな、俺には真似できねーよ、お前はすげーよ」
拓真に言われるまで俺は考えたこともなかった。
俺は凄いのだろうか…?
他人には俺の姿がそう映るのだろうか。
俺はずっとおふくろの姿を見てきたから、俺の生き方も自然とこんな生き方になっていたのだと思う。
凄いのは俺ではない。
出て行った親父の借金を文句も言わず、返し続けているおふくろが。
毎日毎日、泣き言一つ言わず、働き通しのおふくろが。
いくら忙しくてもご飯を作ってくれるおふくろが。
一番、凄いんだーーーー